私が毎日利用している西武池袋線は、もと武蔵野鉄道と称し、明治44年設立、大正4年池袋-飯能間を汽車にて運転したのを初めとする。昭和初期の地図を見ると、しっかりと武蔵野鉄道と記されてある。古老の話だと、わが椎名町近辺は一面の麦畑だったそうである。
西武鉄道への社名の変更は昭和21年だから、私が利用し始めてからは西武鉄道である。
椎名町は池袋から一つめの駅である。私はそこから毎日、池袋まで行き、地下鉄丸ノ内線で淡路町まで乗って、サイエンティスト社に通っている。
池袋から椎名町までは約3分間の行程であるが、私はかねがね、実際には何分かかるのかに、興味があった。というのは、朝、夕で電車の運行が著しく違うと感じるからである。朝は間隔が狭く、必ず駅手前で徐行ないしは一時停止をする。どのくらいロスしているのだろう。もし、フル・スピードで走ったとしたら、この池袋-椎名町駅間は本当は何分かかるのか。私は調べたくなってきた。
4月初めから19日まで、断続的にストップ・ウォッチを持って、到着時間を計ってみた。以下はその一覧である。
椎名町→池袋 | 池袋→椎名町 | ||
4:21 | 2:50 | ||
3:42 | 3:02 | ||
3:57 | 2:49 | ||
3:02 | 2:40 | ||
3:27 | 2:52 | ||
2:48 | 2:57 | ||
3:44 | 2:50 | ||
3:40 | 2:42 | ||
2:51 | 2:48 | ||
平均 | 3:30 | 平均 | 2:50 |
この差はどこからくるのであろう。スケッチしてみたい。
電車のドアが閉まったときに、ストップ・ウォッチを押す。ところがすぐには出発しない。10秒、時には20秒かかる。これは第一の発見。ゆっくり動き出した電車がギアを切り換えて加速するのは40秒~60秒後だった。ストップ・ウォッチを見つめていると、必然的に電車の速度に敏感になるらしく、加速に切り換わるのがはっきり分かるのである。ただし、フル・スピードの時間は60秒足らず、電車はJR山手線との高架橋に着く。その先はもう、池袋駅構内に入り、急減速する。ないしは、停止してしまう。朝は電車が混んでいて、前の電車がつかえているからである。これで30秒は失う。
電車はゆっくりと駅に滑り込み、扉はすばやく開く。私は手の内でスイッチを押す。
電車の扉が閉まると、スムーズに発車する。しかし、駅構内を出るまでには、ゆっくりゆっくり走行する。池袋は駅が4基あり、いくつもの引き込み線を抜けなくてはならないからである。その構内に、最近謎のコンコースができて、私は不思議でならないのだ。線路に沿って作られ、JRが谷を走るところまでくると、線路に直角に曲がって、突如途切れてしまうからだ。これは一体、何なのだろう?
それは措いて、電車が駅構内を抜けると、前述のJR山手線との交差点に差しかかる。左手前には、ヨネクラボクシングジムの2階建てからチラッと練習風景が見える。ここを過ぎて電車はようやく加速する。既に60秒近くが経っている。快適な走りは、しかし大体60秒ぐらいまでで、あとはブレーキがかかり、徐々に減速されていく。
何の気なしに、電車の運行時間を測ってみたのだが、いろいろと発見した。高々3分強の進行なのだが、運転手は、個性を発揮しているのだ。初動からスピードを上げる人、なかなかフル・スピードにしないが、一端アップすると、ぎりぎりまでそのスピードを維持する人など、一律ではないことが分かった。かけ方も一様ではない。
なお、池袋-椎名町間を、ノン・ストップで走ったら、どのくらい短縮されるのだろうかという興味を押えられず、本日(6月3日)、快速に乗ってみた。計ってみると、
以上、調べたからどうだ、ということの一切ないレポートであった。