3月末に、ひょっこりと花井さんが訪ねてきた。花井さんはいつもひょっこりと現れる、フタバビジネスの営業マンである。正確には「あった」であることをそのときに知った。退職して、新しくオフィス・ステーションという会社を立ち上げたと言うのだ。いつもポーカー・フェイスで喜怒哀楽を表に出さないので何があったのか知らない。ただ、一念発起させるだけのものがあったのだろう。
「社長、コピー機は何年使ってますか?」何気ない会話からいつの間にか営業に入るのが花井さん独特の方法である。「最近は、コピーとFax一体型が圧倒的に普及しているので、それに代えましょう。リース料も一体だから安くできるし」。
こうして何となく小社では、コニカのコピー・Fax一体型のSitios 7145に代えることになった。あれこれの準備の後に4月末にこの機器が導入されたのである。
ところが、立ち上がりは惨々であった。数学工房のセミナーがある日曜日の朝、テキストをコピーするためにこの機器に向かったのである。ところが、正常な状態になっているにも拘わらず、「右側板上を閉めて下さい」というメッセージがどうしても消えず、結局コピーができなくて、コンビニのampmでコピーする破目になってしまった。後で調べさせたら、板が閉まっていることを確認するためのネジが1本抜けていたとのことだが、相手は新品である。カッとなってしまった。それ以外にも何故だか、しばしばトラブルが起き、技術者を呼びだしたのだが、今一つ対応がノロノロしていて、「この機種交換は間違いだったのではないか」と思わせられたのである。
用紙トレイは4段あって、その最下段はFax用紙としてA4の再使用紙を入れている。最上段は、新しいA4判コピー紙が格納されている。この最上段のコピー紙がなくなると、自動的に最下段の再使用紙が使われてしまい、コピーをやり直すことになる。これも、うっかりすると、すぐ発生する事故である。
極めつけの事件が5月16日に京都出張をするときに起きた。私は、出発直前に、薬効評価研究会幹事会への出欠連絡をFaxするために、この機器に出欠表を差し込んで、確かにFaxモードにして、あわただしく会社を出たのであった。
新幹線に乗り込むと、携帯(これについては別途述べる)に会社からの着信の跡がある。聞いてみると、果して、私が送信したはずの出欠表が、コピーされていたというのだ。しかも、相手のFax番号の下3ケタ、383枚だ!音は静かだし、そこでコピーがされているとは想定していないので、結局、誰も気がつかなかったのだった。
私は思わず「俺は確かにFaxモードにしたぞ!機械がおかしいんじゃないの?コニカに調べてもらえ!」と捨て台詞を吐いて車中の人となったのである。
後日、よく調べてみると、機器がパワー・セーブ状態になっていたので、Faxに切り換えても、元の状態が保存されてしまうため、Faxモードにならなかったのが原因であった。しかし、コピーとFaxが別々ならこんなことは絶対起こらない。やれやれ、だ。
こうして、どうなることかと思ったのだが、今はすっかり慣れた。スピードは早いし、用紙の運びもスムーズで、気が付いたら快適に作動して今に至っている。